売買制度

信用取引の活用方法等

信用取引の利用方法

信用取引の主な利用方法としては、以下のようなパターンを挙げることができます。

  • 株価が割安と判断した場合の株券の買付け

  • 現在の株価が割安なため、今後の株価は上昇するだろうと判断したが、手持ちの買付資金がない。
    このような場合には、信用取引を利用して買付けを行うことが可能です。
    これを、信用の新規買い(買建て)といいます。
(返済(弁済)の際の手段としては、「転売」と「現引き」があります。)
「転売」とは、買い付けた際の株券(担保株券)を市場で売ること(転売)で、その売却代金をもって買付けの際の代金(融資金)を返戻することにより返済(弁済)することです。 「現引き」とは、買い付けた際の代金(融資金)相当額の資金を別途用意し、その用意した資金で株券(担保株券)を買い取ることで買い付けた際の株券を引き取ることにより返済(弁済)することです。
  • 株価が割高と判断した場合の株券の売付け
  • 現在の株価が割高なため、今後の株価は下落するだろうと判断したが、手持ちに株券がない。
    このような場合には、信用取引を利用して売付けを行うことが可能です。
    これを、信用の新規売り(売建て)といいます。
(返済の際の手段としては、「買戻し」と「現渡し」があります。)
「買戻し」とは、売り付けた際の売却代金(借株の担保である担保金)をもって市場で買うこと(買戻し)で、その買い付けた株券をもって売付けた際の借株を返戻することにより返済することです。 「現渡し」とは、売り付けた際の株券(借株)と同様の株券を別途用意し、その用意した株券を引き渡す(現渡し)ことで売り付けた際の売却代金を受け取ることにより返済することです。
  • つなぎ売り
  • 公募等を申し込んだ投資家が、今後、公募等で入手した際の株券を売却しようとしたときには株価が下落しているだろうと予想した。
  • 配当等の株主権利はほしいと思っている投資家が、今後、権利落ちの日までには株価が下落しているだろうと予想した。
    このような場合には、価格下落のリスクをヘッジするため、あらかじめ信用取引を利用して売付けを行うことが可能です。
    これを、信用のつなぎ売りといいます。
(返済(弁済)の際は、公募等で取得した株券を引き渡したくない、手持ちの株券は引き渡したくない、ということであれば「買戻し」、公募等で取得した株券を引き渡してもよい、手持ちの株券を引き渡してもよい、ということであれば「現渡し」を行います。)

信用取引のメリット

信用取引のメリットとしては、主に以下のようなものを挙げることができます。

(1)機動的な投資が可能
信用取引は、手持ち資金がないが株価が安いので今買っておきたい、逆に、手持ち株券は持っていないが株価が高いので今売っておきたい、というときなどに利用することができます。これにより、機動的に投資のタイミングを逃すことなく株券の売買を行うことができます。

(2)投資資金の効率化
信用取引は、「委託保証金」(約定代金の30%相当額以上の担保金)といわれる担保金を証券会社に差し入れることにより、手持ちに買付資金や売付株券がなくても株券の売買をすることができます。これにより、資金の効率化が可能となります(実際には「委託保証金」のほか、別途、付帯費用が必要です。)。

(3)レバレッジ効果
信用取引は、「委託保証金」を差し入れることにより、差し入れられた金額の数倍の取引が可能となるため、投資資金のレバレッジ(てこ)効果により大きな利益を期待することができます。

(4) 保有有価証券の有効活用
信用取引を行う際に、信用取引を行う銘柄以外の有価証券を保有している場合には、手持ちの有価証券を代用有価証券(担保)として委託保証金の代用とすることが可能なため、保有有価証券を有効に活用することができます。

(5)「売付け」からの売買取引開始が可能
通常、現物取引は、「買付け」から売買取引を開始し、株価が上昇したところで「売付け」することによって収益をあげることができます。
信用取引においても同じことが言えます(これを一般的に「買いから入る」といいます。)が、信用取引では、今の株価が高いので今後株価は下がるだろうと予想しているため、今売っておきたいといった場合があります。このような場合に信用取引の「売付け」を先に行い、後から株価が下がったところで「買付け」を行うことにより収益をあげることができます。これを一般的に「売りから入る」といいますが、信用取引では、株価下降時でも収益をあげることのできる投資方法を選択することができます。

信用取引のデメリット

信用取引では、株価の上昇を予想して「新規買い」、株価の下落を予想して「新規売り」をおこないます。
しかし、株価の動きが「新規買い」、「新規売り」をした際の投資判断とは異なる結果となった場合には、差し入れた委託保証金以上の損失が発生することがあります。また、投資資金のレバレッジ(てこ)効果により、より大きな損失を被ることもあります。
よって、信用取引の制度を十分ご理解のうえ取引を行っていただく必要があります。

上場会社にとっての信用取引のメリット

上場会社にとっての信用取引のメリットは、上場銘柄が信用銘柄になることにより、様々な投資家が信用取引の制度を利用して株券の売買に参加することで、注文量拡大や投資判断の多様化が見込まれ、より適正な企業価値が株価に反映されるというところにあると考えられています。
株式市場では、株券を買うための資金を持っている投資家や売るための株券を持っている投資家による需給(実需給)の間でのみ売買取引がなされると、流動性の低下や少ない注文での価格の乱高下が懸念され、円滑・公正な価格形成が阻害される可能性があると考えられています。
信用取引は、信用取引を利用する手持ち資金や手持ち株券はない投資家の需給(仮需給)を取り込むことによって、新たな投資家の参入が容易となり、価格形成をより安定的にする効果やより円滑・公正な価格形成がなされる効果および売買の流動性が向上する効果があるものと考えられています。